【パンの歴史】起源やヨーロッパでの普及、日本への伝来などを解説
パンの歴史について解説しています。パンの起源やヨーロッパでの発展・普及、日本への伝来など古代から現代までのパンの歴史を記載しています。パンの美味しさや魅力をさらに楽しむためにも、ぜひこの機会にパンの深く長い歴史に触れてみてはいかがでしょうか。

そんな私たちの生活を支えるパンですが、その歴史は非常に深いものであることをご存知でしょうか。古代から変遷を繰り返し、先人たちが試行錯誤した結果、現代のような形になったのです。
当記事では、パンの歴史について解説します。パンの起源や普及した背景、日本への伝来など、節目ごとに紹介しているので、パンについて詳しく知りたい方はぜひ参考にしてみてください。
【パンの歴史.1】パンの起源は?どこで生まれた?
まずパンの起源について見ていきましょう。いつの時代、どこで生まれたのかを知ることで、パンの歴史の深さを感じることができます。
パンの起源はメソポタミア文明にある
パンの起源は、古代メソポタミアや古代エジプトの時代まで遡ります。今からおよそ8000~6000年前の古代メソポタミアでは、 パンの原形とされる「小麦粉を水でこねて焼いたもの」が食べられていたと考えられています。
古代メソポタミアでは無発酵でしたが、その後の古代エジプトでは「発酵パン」が誕生。 紀元前3000年頃には、すでに大麦やライ麦を使ったパンが焼かれていたと言われています。
古代ギリシャ時代にパン技術が発展していく
紀元前500~400年には、古代エジプトから古代ギリシャにパン作りが伝わり、パン技術が発展していったと言います。 パンの発酵にワインを使用したり、主食用のパンやバター・牛乳・果実を加えたパンも作られ始めました。
古代ローマ時代にはローマ軍のギリシャ侵攻をきっかけに、ギリシャ人を通じてパン作りがローマへ広まったとされています。 また、ローマ人がガリア(現在のフランス)に到来したことで、現在の北イタリアからフランス地方にもパン作りが伝わり、パンの製法や種類も多様化していったと考えられています。
【パンの歴史.2】ヨーロッパでの普及
古代から中世にかけて、ヨーロッパではパン技術がさらに発展し、徐々に庶民にも普及していくようになります。 また、近代ではパンの製法が大きく進化し、現代でも馴染みのあるパンがどんどん作られるようになっていきます。
それぞれについて、詳しく解説します。
パン作りが庶民にも普及していく
5世紀から15世紀の間は、西ローマ帝国の滅亡をきっかけに戦乱が繰り返される時代に突入し、パン作り技術の発展は低迷していたと言われています。 しかし、その中でも各国の地域で独自のパンが作られるようになっていきます。現在のいわゆる「フランスのパン」「イギリスのパン」といった、 その国を代表するパン(ナショナルブレッド)の誕生に繋がったのです。
また、中世ヨーロッパでは、パン屋が専門職として確立されたと言われています。当時のパン屋は重要な存在であり、パンの品質や種類がさらに発展を遂げました。 貴族だけではなく、庶民の主食としても親しまれるようになったと言います。
特に14世紀から16世紀のイタリア・ルネサンス時代には、庶民の家庭でもパンを焼くことが許可されるようになり、パン作りがさらに普及していったのです。
現代でも馴染みのあるパンが各国で作られていく
中世ではパン作り技術が向上し、世の中にどんどん普及していきました。
例えば18世紀には、パンの製法が大きく進化し、小麦粉の品質も向上したと言われています。イ ギリスではホワイトブレッド(日本における食パンの原形)が誕生するなど、現代のようなパンの種類も作られはじめ、多様化していきます。
そして19世紀には、フランスパンの代表であるバゲットやバタールなどが現在のような形になります。 また、パンの製造業が大規模化し、工業化も進んでいきます。パンの品質と安全性も向上したほか、パンの消費も一般化していきました。 これは18世紀~19世紀にかけてイギリスで起こった「産業革命」の影響も考えられるでしょう。
20世紀以降は、フランスのクロワッサン、アメリカのロールパンなどが作られるようになります。 また、フランスのパンが世界中で評価されるようになり、特にパリのパン屋はその美味しさと品質の高さで知れ渡りました。
加えて、有機小麦や特定の穀物を使用した健康志向のパンなども増えていき、世界の農業技術・科学の進化と比例して、パン作りの幅も広がっていったと考えられるでしょう。
【パンの歴史.3】日本へ伝来したのはいつ?
ここまではヨーロッパを中心にパンの歴史を紹介していきましたが、日本にパンが伝来したのはいつ頃なのでしょうか。以下では、日本におけるパンの歴史について解説します。
16世紀にパンが日本へ伝わる
日本にパンが伝わったのは16世紀頃だと言われています。当時、日本に訪れたポルトガルやスペインの宣教師によって伝来したと考えられています。 米や麦などの穀物を主食としていた日本において、パンは珍しい食べ物でしたが、次第に庶民にも普及していきました。
19世紀に本格的なパン作りが行われる
日本において本格的なパン作りが行われたのは、江戸時代後半の1842年のことです。 戦争のための食糧確保を急務としていた幕府は、軍隊の携帯食である「兵糧」としてパンに着目したと言います。
そして幕府は伊豆韮山(いずにらやま、現在の静岡県伊豆の国市)で代官を務める、江川太郎左衛門にパン作りを命じ、 現在の乾パンに当たる「兵糧パン」を作らせました。これが日本で初めて本格的に作られたパンだと言われています。
ちなみに、この兵糧パンが生まれた日は「パンの日」に制定されており、現代ではパンの記念日として親しまれています。
▼パンの日についての詳細はこちら
パンの日(パンの記念日)とは?日にちや由来、お得なキャンペーンなどをご紹介
洋食文化が広まり庶民にもパンが普及する
庶民の間では一般的ではなかったパンは、明治時代以降に徐々に普及していきます。これは日本が西洋の技術や文化を積極的に取り入れるようになったためです。
当時の東京や横浜などの都市では、外国人向けのホテルが増えており、フランスパンやイギリスパンが振る舞われていました。 江戸幕府が滅亡したあとはイギリスの支援を受けていたこともあり、食パンの原形とも言えるイギリスパンが作られ、日本人にも広まっていったと言います。
また、パンの普及に伴って製造技術も導入しはじめ、日本初のパン屋も開業されるなど、日本におけるパン文化が飛躍的な発展を遂げた時代とも言えるでしょう。
給食によりパン食が一般化する
第二次世界大戦後のアメリカの占領時代には、パンが食糧不足の解消に役立つとして、さらに普及しました。 現代では馴染のある給食のコッペパンや牛乳といったメニューも、この時期から始まったと言われています。
その後、全国的にパン工場が建設されていき、パンの生産量も伸びていくようになります。 現在の日本では、さまざまな種類のパンが存在し、普段の食生活には欠かせない食品として親しまれています。
1918年創業のパン屋の老舗「神戸屋」
パン作りが一般化し始めた1900年代、パン屋の老舗である「神戸屋」の歴史も動き始めました。
1918年に大阪出入橋に創業して以来、イースト菌を使用する製パン方法に日本で初めて成功するなど、日本のパン食文化の発展に貢献するためにパン作りに勤しんでまいりました。
パン事業を筆頭に、神戸屋レストラン・神戸屋キッチンなどのフードサービス事業への進出、冷凍のパン生地を製造・販売するフローズン事業の発足など、 多くの方に神戸屋のパンを楽しんでいただきたく、幅広い事業に取り組み続けています。
近年は、パン作りの技術力を競う「ベーカリーワールドカップ」の飾りパン部門や、 個人戦の世界大会である「マスター・ド・ラ・ブーランジュリー」のパン部門で神戸屋のパン職人が優勝を果たすなど、神戸屋の技術力に注目いただける機会も増えております。
現在では計9つのブランドからなる直営店を関東・関西地方を軸に運営しているほか、 神戸屋のパンを気軽にお買い求めいただける「神戸屋オンラインストア」も展開しており、多くのお客様にご愛顧いただけるようになりました。
パンが長く深い歴史を刻んできたように、神戸屋もこれまで築き上げてきた100年の歴史を糧にパンの美味しさをお届けすべく、変わらない姿勢でパンを作り続けていきます。
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奥深い歴史を知るとパンがさらに好きになる!
パンには、何千年もの昔に遡るほど深くて長い歴史があります。現代では当たり前のように食べているパンも、 かつての人々の工夫や試行錯誤によってもたらされていると考えると、非常に感慨深いものがあるでしょう。パンの伝来は、 日本の食文化に大きな影響を与え、多様な食事の選択肢を提供してくれました。
こうした歴史を知ることで、パンのことをさらに好きになり、美味しく楽しめるようになります。 ぜひ日々のパンをお召し上がりの際に、当記事で紹介した歴史に思い馳せながら楽しんでみてはいかがでしょうか。